かんそうをいろいろおとすブログ

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「地獄」~石井監督が描く平成事件と地獄談

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平成日本を震撼させた事件の犯人たちが、地獄の責め苦に苛まれる様をシュールかつエログロに描出する世紀末社会派劇。監督・脚本は「ねじ式」の石井輝男。撮影を「美容師三姉妹 乱れ髪くねり腰」の柳田友貴が担当している。主演は佐藤美樹(「義母覗き 爪先に舌絡ませて」のさとう樹菜子の別名)。
1999年製作/101分/日本
配給:石井プロダクション=オーピー映画 以上、映画.comよりhttps://eiga.com/movie/36843/

今回GYAO!で無料配信されていた映画。色々雑誌で見かけることがあって、映画好きとして観ておいた方が良い映画だと思っていたので、今回観てよかったです。。

gyao.yahoo.co.jp

描かれるのは平成を代表する事件たち。幼女連続殺人事件を起こした宮崎勤(劇中では宮島ツトム)、地下鉄サリン事件を引き起こしたオウム真理教(劇中では宇宙真理教)、毒入りカレー事件を起こす夫婦たちまで。。。

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↑毒カレー事件を引き起こした奥様。。。

 

それぞれの描写はとにかくリアルで、胸糞悪く、彼らに同情もなく淡々と描かれます。特にメインで描かれるオウム真理教の描写。実際の事件の数々、坂本弁護士一家殺人事件や地下鉄サリン事件、信者たちのリンチ事件をエロくグロく描きます。そしてその後のやるせない裁判シーンまで。。。

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↑麻原氏もこんな感じ、ちょっと痩せてる気もしますが、描写は本当に気味悪いです。

 

そして彼らを裁く「地獄」の数々。緩さなど全くなく、彼らが裁かれていきます。舌引っこ抜きや灼熱地獄、鋸引きの刑などなど、それらの描写はCGなど全く無く、特撮で描かれるためコミカルにも見えますが、ある意味の生々しさも感じます。

 

これらの描写は『彼らの「救い」など全く必要ない』という石井監督からの強いメッセージを感じます。

石井監督は「恐怖奇形人間」や「網走番外地」などカルト映画の監督として知られている監督ですが、本作もそれらの作品に負けていない作品だと思います。

 

ラストに登場する丹波哲郎氏演じる武士も含めて珍作感は抜けない本作ですが、石井監督の強いメッセージだけでも観る価値がある作品でした。